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誕生日
シトシトと雨が降る…ピチョンピチョンと音を立てて地面に落ちていく雨粒…
それを見る僕…何で見ているかって?
僕はね、“雨の日”が大好きなんだ!
何でって?それは雨の日に生まれたから!
昨日も雨が降ってて嬉しかったんだ!
昨日はね、僕が生まれた日…つまり“誕生日”なんだ!だからね〜ママがね、昨日僕に新しいお洋服を作ってきせてくれたの!
僕とっても嬉しいんだ!
真っ白くて綺麗なお洋服、僕のために一生懸命考えて作ってくれたんだ!
だから自慢のお洋服!
僕はクルクル回る、嬉しさのあまりに動きまわちゃうんだ!
ベチャっ……
やばい、窓ガラスにぶつかっちゃって、水滴がついて…お洋服濡れちゃった…せっかくのお洋服なのにベチャベチャになっちゃった…
あっ…お兄ちゃんがこっちに来ちゃった。
せっかくだからお兄ちゃんと、お話したいけど…僕は濡れた服を、隠すので精一杯だからそっちに向けないや…いや、でも僕いっつもお外見てるからばれない…かも…?
でも、お兄ちゃんは僕のことお構いなしに僕の方を見ている…
じっと、僕を見つめてる…僕を見ていたと思っていたけど、お外を見ているようだ…
何だよー…僕の相手をしてもくれても良いじゃん!お兄ちゃん!ほっとかないでよ!かまって!
そう訴えてもお兄ちゃんはこっちを見てくれない…
少し経って窓と睨めっこしていた、お兄ちゃんが喋り出した…
「ママー!晴れてないよ!」
お兄ちゃんがキッチンにいたママに呼びかけると、ママはお兄ちゃんの声に反応し、コチラに来た。
「そっか残念だね、遠足中止ね」
ママは眉をよせ、残念そうに言う。
そう、今日はお兄ちゃんが楽しみにしていた遠足の日…でも今日は生憎の“雨”僕もお願いしたけどダメだった…………
「えー!遠足行きたい!それにお願いしたじゃん!」
「お願い聞いてもらえなかったのかな?残念ねぇ……それじゃあ」
“首を切らないとね”
ポトリ……
無惨に切られた頭と綿が床に飛び散る…
僕の頭が床にコロコロと転がっている。
仕方ないよね…だって僕は“てるてる坊主”
あーあー、今日は作られて二日目。残念だなぁ……せっかく、作られて日が経ってないのに…首切られちゃった……ま、しょうがないよね。
……そう言う歌があるから…ね。
だから、僕達はしょうがないだよね?
そうだよね?ママ
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