サクラとレン

1/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

サクラとレン

「なぁ!お前、華道部入らねえ?!」 「……は??」 それは本当に突然だった。桜のつぼみが少しづつ膨らみ、柔らかい日差しが教室内に差し込む。高校2年生の初日。ホームルームが終わって、俺はカバンに荷物を詰め込んでいる最中だった。 「いきなり、何言って…」 「なぁ~華道部入ろうぜ?楽しいぞ?!」 派手な見た目して何言ってんだこいつ…。 校則に引っかかりそうな明るい髪色に耳にはシルバーのリング型ピアス。 こんなザ 不良みたいなやつと関わってられるか…! 「悪いけど…部活は入らねぇから…」 「んなぁでだよ~!!華道部やろうぜ?6月に大会あってさ!2人1組だから俺一人じゃ出られないんだよ!」 「勧誘なら別のやつにしてくれ。華道部なら女子とか誘えばいいだろ」 というかそもそも、うちの学校に華道部なんてあったのか…? 「いいんや!お前じゃなきゃダメなんだよ!」 「なんで俺が…」 「お前の苗字!」 「はぁ?!」 「だから!お前の苗字だよ!」 「いや、聞こえねぇから聞き返したわけじゃねーよ!」 「じゃ、なんでダメなんだよ!」と、そいつは困った子犬のような顔をした。そんな顔されても俺はどうしようも出来ないんだけど…?! 「美人な先生もいるしさ!花を生けるって楽しいんだぜ?!流派は千歳(ちせん)流って言うんだけど!」 ゴチャゴチャゴチャゴチャ、そいつは華道の良さやら楽しさやらを一方的に話し続けた。マシンガントーク過ぎてほぼ聞いてねぇけど…。 「なー!やろうぜ?(さくら)」 「桜って呼ぶな!」 「なんで!」 「なんでもだよ!」 もういい、早く帰ろう…。カバンを肩にかけ、そいつを避けるようにして教室を出た。 「おい!桜!…くそぉ……」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!