3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
サクラとレン
「なぁ!お前、華道部入らねえ?!」
「……は??」
それは本当に突然だった。桜のつぼみが少しづつ膨らみ、柔らかい日差しが教室内に差し込む。高校2年生の初日。ホームルームが終わって、俺はカバンに荷物を詰め込んでいる最中だった。
「いきなり、何言って…」
「なぁ~華道部入ろうぜ?楽しいぞ?!」
派手な見た目して何言ってんだこいつ…。 校則に引っかかりそうな明るい髪色に耳にはシルバーのリング型ピアス。
こんなザ 不良みたいなやつと関わってられるか…!
「悪いけど…部活は入らねぇから…」
「んなぁでだよ~!!華道部やろうぜ?6月に大会あってさ!2人1組だから俺一人じゃ出られないんだよ!」
「勧誘なら別のやつにしてくれ。華道部なら女子とか誘えばいいだろ」
というかそもそも、うちの学校に華道部なんてあったのか…?
「いいんや!お前じゃなきゃダメなんだよ!」
「なんで俺が…」
「お前の苗字!」
「はぁ?!」
「だから!お前の苗字だよ!」
「いや、聞こえねぇから聞き返したわけじゃねーよ!」
「じゃ、なんでダメなんだよ!」と、そいつは困った子犬のような顔をした。そんな顔されても俺はどうしようも出来ないんだけど…?!
「美人な先生もいるしさ!花を生けるって楽しいんだぜ?!流派は千歳流って言うんだけど!」
ゴチャゴチャゴチャゴチャ、そいつは華道の良さやら楽しさやらを一方的に話し続けた。マシンガントーク過ぎてほぼ聞いてねぇけど…。
「なー!やろうぜ?桜」
「桜って呼ぶな!」
「なんで!」
「なんでもだよ!」
もういい、早く帰ろう…。カバンを肩にかけ、そいつを避けるようにして教室を出た。
「おい!桜!…くそぉ……」
最初のコメントを投稿しよう!