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キンコンカンコン!キンコンカンコン!②
今日は起きてから頭が痛かった。
バファリンを2錠飲んだが痛みが止まらねぇ。後、2錠飲むと眠くなるが、頭の痛みが止まらないので後、4錠飲んだ。痛みが治まらなければ、後、6錠は飲んでいいと、仲間に言われたことがあるので、
頭の痛みは止まらない。
頭の横が痛い。頭痛は頭の右側か左側かはよく分からねぇ。とにかく痛くてイライラする。
西川口で女が抱きたかった。乳輪のデカい巨乳が好みだ。
そうすれば、きっと、少しは頭の痛みも良くなったかも知れない。
そんな気がする。いや、一発抜けばきっと良くなる。次に女が抱けるまで2週間。股間が持たねぇ・・・社宅のトイレでマス○○ーショ〇でもするしかねぇ・・・毎日でも女が抱きてぇ・・・
黒のライトバンは明治通りを東池袋の方向へ走っていく。
サンシャイン通りでは。以前、盛況だったキャバクラのネオンが眩しい。このコロナ禍で水商売も上がったりだ。接待を伴う飲食店?なんだそれ?
「青森に帰りてぇ・・・」
今の自分が情けなくなり、ふとに涙が溢れてくる。
何で500万の借金を作ったのか?だと?
それが分かれば苦労しねえよ!田圃も畑も家も家族もみんな失った。
そして、来月には借金が600万になる。それが今の事実だ。後はよく分からねぇ。最初は「亜〇無」で20万、借りてパチンコに使った。「CR陸物語」という台で確変を引きたかった。スロットにもハマった。パチンコもスロットももう少しのところで大勝ち出来るんだ。それなのに・・・
ホテトル嬢の女達を運ぶ仕事も借金の返済に充てられる。初め30万、店長にくれると言われて、店の寮に入った。食費、住宅費、光熱費、月々の借金の支払いで28万円は消えた。給料前になると煙草もオチオチ好きな銘柄も買えず、Echoかわかばしか吸えねぇ・・・
クソっ!付いてねぇ!
「母ちゃんの味噌汁が飲みてぇ・・・」
その時、カイシャから渡されたスマホが鳴った。
客だ。
震える親指で電話に出る。スマートフォンだけは慣れることができねぇ。
特に運転中は良くねぇ
落としても良くねぇ。一度、落として画面を割って、罰金を取られた事がある。30万もだ。
確かにコードも付いてねぇ、高級そうな電話だ。Androidっていうのか?昔。子供の頃、見たテレビ番組で、アンドロイドというロボットがいたような気がする。よく分からねぇが・・・
「もし・・・もし・・・」
「はーーい!晴海さん、ご指名!東池袋三丁目、HOTEL EPA東池袋7023号室ね。わかったか?糞オヤジ!」
「はい。すいません、今、クルマを道路の端に寄せます。メモを取らせて下さい。」
「お前、いい加減にホテトル嬢の名前くらい覚えろ!能無しが!」
クッソー!若造!借金がなければ・・・
「すいません。」
俺は怒りを抑え、低い声で言った。
「ヤバい!ヤバい!糞オヤジ、また、やりやかった!キャハハハハハハハ!」
「ギャハハハハハハハハハハ!」
後ろで女達が下品に嗤った。
クッソ!オンナ達!笑うんじゃねぇよ!コッチは怒られないように必死なんだ!
「はい、クルマを、停めました。はい。分かりました。7023号室ですね。」
「晴海さん、お仕事です。」
「糞オヤジ!もっと、愛想よくしろよ!」
「だから、借金減らねーんだよ。」
「ギャハハハハハハハハハハ!」
糞、人間の底辺女達にまで、笑われてるぜ!クソッタレ!金さえあれば!金さえあれば!借金さえなければ!
ライトバンの中には6人のホテトル嬢がいた。
後ろの3人がけに座っていた。髪を栗毛色に染めた、晴海がメビウスを消して、歯を磨き出す。ミネラルウォーターを晴海たち女に持っていって、洗面器を差し出すのも、俺の仕事だ。
「よろしくお願いします。」
俺は頭を下げた。
「オヤジ、もっと頭下げろよ。土下座しろよ!アタシ達が抱かれた金から給料でてんだろ!」
「スイマスセン・・・」
「何がすいませんだ!もっと頭、下げやがれ!ギャハハハハハハハハハハ!」
糞ったれ!借金さえなければ!借金さえなければ!
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