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ツッタカタッター!ツッタカタッター!①
ライトバンは一度、池袋駅を迂回すると、東池袋方面へと向かった。サンシャイン通りは相も変わらず、混んでいた。
サンシャイン60に向かっていた、黒のライトバンは右に折れた。イエローのラインが引かれている「EPA HOTEL 東池袋」が見えてくる。
このビジネスホテルには駐車場がなかった。俺はホテルに程近い、路肩にバンを停め、急ぎ、後ろのドアを自動で開け、リアシートからそのドアの方向へと俺は行った。
晴海が降りて来る。
「晴海さん。行ってらっしゃい。」
俺は深々と頭を下げた。それを無視し、気だるそうに歩いていく栗毛色の髪。本当に晴海という、オンナ、頃してやりたい程、ムカつく。
一度、金を払って女共の誰かを指名してやろうと思ったが、90分4万の金は逆立ちしても払えない。しかも、本番なしだ。
ふと、夜空を見上げると、粉雪がふわふわと舞い出した。寒いはずだ。両足の指に感覚が無くなってきている。国が恋しい。
俺はオンナ達と違ってバンの中ではタバコを吸っては行けない。車内で煙草を吸ってテンチョーに怒られた事がある。
吸っていた煙草が「わかば」だったという理由で。もっと、高い煙草を吸えと言われ殴られた。月末だったから高い煙草は買えなかっただけなのに・・・いつもはLARKを吸っているとテンチョーに言ったら、高いタバコ吸ってるんじゃねぇとまた、殴られる。
時々、LARKがどうしようもなく吸いたくなる事があるが、毎月の給料は手取りて2万ちょい。残りは借金に補填される。吸える煙草の銘柄も限られてくる。月末は我慢だ・・・
月終わりは「わかば」か「echo」か「ゴールデンバット」しか有り得ない。それでも月末には金が無くなるので、節煙してる。もちろん。
「あーーーっ。青森に帰りてぇ。新町通りの丸海ラーメンで温まりてぇ・・・」
俺は眠気を覚ますため「わかば」を口に咥えて吸い、アイスコーヒーをがぶ飲みした。
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