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「いやあ、画期的なサービスだ」
「本当ですね」
上司が満足げに一人で何度も頷いているので、自分も合わせて頷いた。
「内容も手抜きなく充実しているし、レンタルするこちら側は、手間もほとんどかからない。何より、元手すら勝手に相手が回収してくれて、こちらは一切かける必要がないのだから、レンタルしないのは損だというくらいだよ」
「ええ、Win-Winですよね」
「何しろ、我々は、自前で用意するわけにいかないからな、こんな物騒なゲームを」
そう、死神たちは間違いなく我々をターゲットと定めて、このレンタルサービスを始めたのだろう。
「もはや今、空きがないですからね……天国は」
「デスゲームを開催し、増えすぎた地上の人間の数を絞っていく。脱出できた一握りの人間以外は死亡し、その魂は死神が回収。クリアした者も、その過程で他人を蹴落としていれば、地獄行きと審判する理由になる。結果、天国には誰もやってこなくなる。……よし、これで、当面の問題は解消できるな! どんどんこのサービスをレンタルして、どんどん人間たちを蹴落としていくぞ!」
上司の天使長が息巻く。そんな姿を見て、一介の天使である自分は、「……本当に、これでいいんだろうか?」という小さな疑問を胸のうちに押し込みつつ、「そうですね」と同意した。
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