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爆弾ジジイは夏菜子が目覚めると、ニヤニヤと汚い歯を見せて笑った。そして直ぐに何を思ったか扇風機を付ける。その風は夏菜子に向かって吹いているので、男の発する酷い匂いが顔面にぶつかるのだ。
「うふふ、うふふ」と気味の悪い声で笑う。裏声なのかやけに甲高い。爆弾ジジイは黄ばんだ長袖をおもむろに脱ぎ捨てて、その汚い体を晒す。
腕には大量の出来物がある。米粒程度のものから拳ほどあるのではないか、と言うほど膨れ上がったものまで。それが腕から身体中大量にあるのだ。
(まま、ぱぱ、助けて…!)
夏菜子は塞がれた口でそう唱える。不自由な体を捻って逃げようとするが、びくともしない。
「ゔゔぅ…」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの夏菜子に、男はまた「うふふ」と笑うと、床に転がったカッターナイフを見せつける。キリキリと刃が伸びて、夏菜子は自分が殺される、そう確信してくぐもった悲鳴を上げた。
「パフェ、パフェ食べる?」
しかし、爆弾ジジイはそう言ってバタバタと台所に行き、可愛らしいパフェグラスを持ってくる。
「残さず、食べるように!うふ、」
男はまず自分の左腕のダンゴムシ程の出来物をカッターでゆっくり切り始める。ふっ、ふっ、と荒い息を漏らしながら、どろりとしたジューシーな中身が顕になると、「あ!あ!勿体ない!」と言いながらグラスに注いだ。
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