粉瘤パフェ

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「ううーゆ、小さいだとダメ」気に入らない様子で地団駄踏む男は次に、「じゃ〜ん☆」と言いながら自身の右太ももの大きなコブを夏菜子に見せる。毛むくじゃらのその足にも無数に出来物が見える。男はその大きなコブにカッターの刃先を差し込んで、中身を絞り出した。 小さな傷口から灰色の中身がブリブリっと出てくる。それをグローブのような手で「よいしょ、よいしょ」と言いながらひたすら絞っているのだ。それはグラスの三分の一程を占めた。 夏菜子はその据えた独特な匂いに気持ち悪くなって、同時にこの男が何をしようとしているのか想像した。 恐怖に戦く夏菜子を置いて、男のテンションは更に高くなる。一人で「次はお腹のぁげるね!」と甲高い声で騒ぐのだ。 だらしない腹の五百円程の大きさの出来物複数に爆弾ジジイは傷をつける。そして「大放出!」とまたも中身を捻り容器に注ぐ。今度のは血が混じっていて、かなり固めらしい。爆弾ジジイは「うーん、うーん」と唸りながらそれらを出し切った。これがまた臭い。全ての体のゴミを集結させたような匂いだ。 ホクホクとした黄色いマッシュドポテトと言わんばかりにグラスは殆ど埋まった。心做しか湯気が見える。 「鼻の頭のが一番熟したやつだから…」と最後に爆弾ジジイは一番大きなコブに刃を差し込む。それはやわかったのだ、鼻水のようにズルズルと男の口、顎を伝って広がる。
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