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あの鍋で煮られる上司を皆その両目で目撃しているのだ。次釜茹でにされるのは自分かもしれないのだから下手なことはしないだろう。
「ああ、お前でいいや」
そう言って1番右端にいた女性のダクトテープを乱暴に引き剥がす。運がいいのか悪いのか、それが自分でなくて良かったと彼女以外そう思ったことだろう。だが彼女が冷静さを失ってしまったことでここにいる全員の命の危機が訪れた。
「お願い!!!何でもするから、助けて!」
耳を劈くような悲鳴は、不快感を増幅させる。(止めろ!)と言いたいが口が塞がれ皆彼女に視線で訴えかけるしか方法がない。
「なんでもって?」
その問いかけに彼女は「私の体でもなんでも差し出すわ!」などと愚かしい思考回路でものを言った。
男は少し考えたのか右上に目玉を動かす。そしてその視線は我々男性陣に向けられた。
「では体が差し出せない彼らは?」
「…それは」
彼女はどうやら自分だけでも助かるつもりらしい。しかし振り上げられた拳が彼女の顔面にめり込んだところ見て、女の色仕掛けに引っかかるような男ではないらしい。
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