吐○鍋

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彼は男のテープを乱暴に引き剥がす。そして口から吐き出したものを見て、「何勝手に吐いてんだ!鍋に貯めるから勝手に吐くな!」と理不尽に怒鳴りつける。 男は吐き出しただけで何を言わない。胃のむかつきと、ヒリヒリ喉を焼く酸が気力さえ奪った。 男は一人一人のテープを外し、吐き出したものを空っぽの、まだ湯気が立っている鍋に貯める。その気持ちの悪い行為を目撃し、他の人間がまた吐き気を催すのだ。 男はその鍋をまた火にかける。弱火でじっくりコトコトと、と言えば聞こえはいいかもしれないが、中身が吐瀉物であることを忘れてはいけない。 「さて、誰が仕出かしたか、”スープ”でも飲みながら聞こうか」 そこにいた3人は同じ事を思っただろう、『まだ最初に殺されていた方が良かったのでは?』と。
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