名前の由来

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雨音 アマオトと書いて 『あまね』と読む。 僕の名前だ。 母が産気づいた時は さわやかな夏空の晴れ日だった。 支度をしているうちに みるみる雨雲が現れ ポツポツと雨が降り出した。 おしるしがあったからと 仕事中の父に電話を入れて 母はタクシーを呼んで産院に 向かった。 タクシーのワイパーは 忙しなく、右に左に雨粒を吹き飛ばす。 雨の日は、普段車に乗らない人も 利用するからか、道は混み いつもなら10分で着くはずが 30分経っても半分も進んでいない。 少し母は不安になって、運転手に尋ねた。 「近道とか、無いですかね? 急ぎたいんですけど。」 「この辺は脇道も無くて この道路しか向かう事出来ないんですよ」 「そうなんですか……」 余裕を持って 準備していたつもりの母だったが 初めてのお産でもあるし 一人では だんだんと不安が募り出す。
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