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「結論から言うと、不合格です」
目の前の若い男は、ハットリと名乗った。
そして、うちのパーティーの加入希望者だった。
昼前に酒場を訪ねてきて、ロイパーティーに加入させてほしいとビアンカさんに申し出たらしい。
ビアンカさんはハットリに、リーダーのロイさんは現在長期不在で、サブリーダーのヴィー(わたしのことだ)は昼過ぎにならないと来ないから自分の一存では決められない、二階の部屋がパーティーの拠点だからそこでヴィーが来るまで待つ気があるのならどうぞと言ったようだ。
藍色のほっかむりに、それと同じ生地のこのあたりでは見かけない変わった服装のハットリは、子供の頃からダンジョンに憧れ続けて極東からわざわざやって来たとのことだった。
何年もかけてこちらの言語を習得したとかでコミュニケーションに問題はない。
どうしてうちのパーティーに?と尋ねると、
「最前線を突っ走る最強パーティーだと聞いたから」
と答えた。
そして床に座ると両手をついて深々と頭を下げた。
「サブリーダーのあなたも弱そうなこむ…ゴホンゴホン」
さては、小娘って言いそうになったわね?
「あんな殺人的な土遁の術が使えるとは、相当な手練れだとお見受けいたします。先ほどは失礼な振る舞いをして申し訳なかった。土下座してお詫びします。俺は忍者です。どうかパーティーの一員にしていただけないでしょうか」
ドトン?ドゲザ?ニンジャ?
相当な手練れだと褒めてもらったのは光栄だけど、聞きなれない言葉だらけで話にならないわ。
だから、回りくどい言い方をせずにズバリ「不合格です」と告げる。
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