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リアルのお飾り妻生活について暴露したら話が長くなりそうだから話題を変えることにした。
「ハットリ、これがパーティー加入手続きの書類なんで、空欄になっている箇所の記入をお願いね」
エルさんとわたしのやり取りを眺めていたハットリに書類の入った封筒を渡しながら、記入が済んだら冒険者協会に赴いてカード情報の追加をしてもらうという流れを説明する。
「ねえ、ヴィー」
ハットリが書類の記入に集中していることを確認して、エルさんに手招きされた。
彼がチョイチョイと親指以外の指四本を折り曲げて人を呼ぶときは、内緒話がしたいという合図だ。
椅子に座るエルさんへ上半身を傾けて耳を寄せる。
「彼さ、BAN姉さんいけるんじゃない?」
ごにょごにょと囁かれた言葉に、わたしも大きく頷いた。
「エルさん、お時間あるなら同行してもらってもいいですか?」
「いいね、久しぶりのダンジョンだ」
エルさんが嬉しそうに笑った。
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