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「手続きはこれで完了しました。ハットリ様は本日からロイパーティーのメンバーであることが正式に認められました。今後も良いダンジョンライフをお過ごしください」
冒険者協会のパーティー統括課窓口の職員から返却された冒険者登録カードの裏面を、ハットリが感無量といった様子で眺めている。
「おめでとう。では早速そのカードで地下40階に行ってみようか!」
エルさんがノリノリだ。
ハットリなら攻略できると踏んでいるのだろう。
それに対しハットリは浮かない顔をしている。
「あのう…実はさ…」
言いにくそうに口をもごもごさせながら、昨日の加入テストで張り切りすぎて手持ちの手裏剣が底をついてしまったから、今日は戦えないという。
確かに昨日、惜しげもなく手裏剣投げまくってものねえ。
パーティーの加入テストだったんだから、もったいぶってる場合じゃなかったんだろうけどね。
「あら、ちょうどよかったわ」
わざとらしく手をポンと合わせてにっこり笑う。
「地下40階には敵がいないのよ。入ってすぐの部屋でお姉さまから鍵を受け取ればいいだけなの」
「ほえ?」
間抜けな声をあげるハットリを引っ張ってダンジョンに入る。
「だから丸腰で問題なし!さ、行きましょ!」
転移水晶で地下40階まで行き、目の前の扉を開けると狭い部屋の中に椅子に座るボスがいる。
このフロアは、たったのこれだけの空間しかないとても奇妙な構造なのだ。
椅子に座るボスは、真っ白な肌と真っ白な長い髪から淡い光をぼうっと放つ人の形をした発光体で、小さな顔には不釣り合いなほどに大きくて不気味な深紅の瞳を真っすぐにこちらに向けている。
通称「BAN姉さん」、その名前の由来は後程説明するとして、わたしとエルさん、トールさんはBAN姉さんと目を合わせないように扉の陰に隠れた。
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