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ロイパーティーが初めてこの地下40階に到達した時、何も情報がない状態でいきなりロイさんがボスに斬りかかり、その直後に姿を消したという。
それに驚いたエルさんが魔法によって紡いだ強力な衝撃波を叩きこもうとしてまた姿を消し、慌てたトールさんが斧を振り下ろして姿を消した。
ほかのメンバーも似たような状況で、最後に残った一人は扉の外から見ていただけだったにも関わらず、ボスの深紅の目を見ているだけで恐怖心が倍増していき、その場に倒れそうになったところでダンジョンからBANされて外に放り出されていたという。
そしてそこには、先に姿を消したメンバーたち全員が倒れていたらしい。
ロイさんの利き腕は肘から先が大剣を握ったままの状態で少し離れた場所に落ちており、エルさんはお腹に大きな穴が開いていて瀕死、トールさんも頭に斧が刺さっているという、何とも凄惨な状態だったようだ。
ちなみにこの街には優秀な神官が常駐している治療院があり、ダンジョンで命を落とすことは滅多にない。
処置が早ければほぼ死んでいる状態だって生き返る。
ただし蘇生や大怪我の治療には相当な苦痛が伴う上に膨大なお金がかかるため、死なないに越したことはない。
しかも、発見が遅れてミイラ化・白骨化していたり腐乱していた場合や、魔物に食べられて消化されてしまったとか、灼熱の炎で一瞬にして灰になってしまったとか、粉々に爆散した場合はさすがの腕利きの神官でも蘇生・再生は不可能だ。
この地下40階のボスの噂はロイパーティーが全滅したという衝撃的なニュースとともにダンジョンマニアの間で拡散され、その噂を聞きつけてよそのダンジョンのベテラン有名パーティーまで駆けつける事態となった。
最初に箝口令を敷いたところで無駄だったのかもしれないが、実はこれが大失敗だった。
ボスに攻撃を仕掛けたらそっくりそのまま跳ね返される、おまけに登録抹消までされるということで、このボスは誰が命名したのか「BAN姉さん」と呼ばれるようになったのだが、それだけではなかった。
このボスを攻略しなければ先には進めない。倒すべき憎らしいボス。
そんなことを心の中で思っただけでBANされるということも判明したのだ。
最初にロイパーティーが全滅した時、最後の一人が何もしていないのにBANされたのはこのためだった。
だから、姉さんがボスであるということを意識してはならないということだ。
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