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結婚式後のお披露目パーティーを、主役であるはずのわたしたちは早めに退出することになった。
「頑張れよ!」
「優しくしてやれよ!」
友人たちの言葉はもちろん、このあとわたしたちが迎えるであろう初夜を示唆する冷やかしで、生涯寄り添いあうことを神様に誓い合ったばかりの旦那様は、わたしの腰に手を回して扉に向かいながら
「友人たちが下品ですまない」
と耳元で囁いて困った顔で笑った。
「いいえ、皆さんの温かい祝福だと受け止めておりますので」
微笑み返すと旦那様がわたしのこめかみに唇を寄せてちゅっとキスを落としたものだから、友人たちの冷やかしがひときわ大きくなった。
その歓声を聞きながら、この人となら上手くやっていけるはずだと思ったその日にまさか「白い結婚」宣言をされるとは――。
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