入学式

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「うわ、でっか。」 自分の出自を忘れてしまうほど大きな門が目の前に。公爵家別邸もなかなかに大きいし、本邸はもっと大きいのだが、それを上回るほどに大きい。 しかも、豪奢。鬱陶しくならない程度の派手で美しい装飾はいかにも貴族が好みそうなデザインだ。 その門の下にスラリとした高身長の迫力のある弩級の美女が立っている。 「オリー姉様。」 そう呼びかけると俺の父上激似の金髪の美女は振り返る。 「ユリ。」 そう、ご察しの通りこの人が俺の姉。つまり、悪役令嬢だ。名を、オリヴィア・ローランという。 通る人がいちいち振り返るような美女は俺とはあまり似ていないという。だからと言って、兄とも似ていないらしい。姉は父上のキリリとしたつり目を引き継ぎ、母上の豊かな金髪を引き継いだ。兄は母上のタレ目と父上の冷酷な雰囲気を受けた継いだ。俺はと言うと、目は母上と父上の中間ぐらいで、ちょっとつり上がっているだけ。雰囲気は母上に似ているらしいけど、全体的な色彩は父上似らしい。 造形は皆一様に整っているので、それぞれとても目立つ。 姉様と一緒などそれこそ注目の的だ。姉様にそう言うと、一緒に行って学校内を案内してくれるらしい。ありがたい。
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