転生

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転生したと気づいたのはいつだろう。  生まれた時から毎日、その一日一日ごとに今はない、不思議な言葉が増えていく。  特に印象に残ったのは、”しみゅれーしょんげーむ”。しかも、自分の家の家名を呼ばれる時に酷く引っかかるのだ。  10歳になった時、長らく寄宿学校に通っていた姉と兄が帰ってきた。そのとき、はた、と気づいたのである。 この2人、悪役令嬢と攻略対象者じゃね?、と。  その後みるみるうちにゲームに関する記憶が蘇り、前の世界とは大きくちがうこの世界に酷く驚いたものだ。  しかし、記憶を思い出した際、高熱も出すことなくただするりと順応していった。違和感すら残さず。  前世の記憶が入ったことにより、多少、ユリスの性格は変わったが、あれ?大人びた?ぐらいの程度のもので何も不思議に思われなかった。 異世界の精神年齢高すぎ。 さて、本題に入ると。  とある国、シャルレ王国の地方。ちょっとした町外れに生まれた主人公は母親と2人で暮らしていた。  ある日、父親を名乗る貴族がやってきて言ったのだ”俺はお前の父親だ”、と。 それからトントン拍子に男爵の子供になった主人公は貴族が通う寄宿学校に入学することになった。 主人公はそこで、たくさんのイケメンと出会うのだ。何度も逢瀬を繰り返し、やがて結ばれる。 と、いかせないのが悪役令嬢。ことごとく邪魔をして簡単にくっつくのを止める。犯罪すれすれ、取り巻きたちを使ってあらゆる手段で主人公を追い詰めるのだ。 これには正直俺も大変骨をおった。 悪役令嬢の注意を他に向けるため、学園長の手まで借りたものだ。  ついに、性悪悪役令嬢は断罪される。白日の元に晒された犯罪はジリジリと彼女を追い詰め自白させるのだ。それで、攻略対象者と主人公はハッピーエンド。  これが、ゲームのあらすじ。 しかし、このゲームは乙女ゲームではない。 主人公の性別が選べる。  男だったら、傷口を癒すような優しい言葉をかけてくれる少女と見紛うほどの可愛らしさを持つミッツェル・バーデン。  女だったら、砂糖菓子のようにふわふわな優しさの中に真とした強さを持つ可憐なミシェル・バーデン。 つまり、このゲームはBLゲームでもあり乙女ゲームなのだ。
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