12.愚痴の後

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「啓。」 「うん?」 「今までごめん。それから、今まで私、色々すごく頑張って、我慢もしてた。」 「うん。」 「もう我慢しない。」 「うん。誓ってたもんな。」 「聞いてたの?」 「うん。ベンチの背中合わせの席に座ってた。」 「!!!!」 「ストーキングしたって言っただろ。」 「全然気が付かなかった。啓、才能あるよ。」 「ここで褒める感性はさすがだな。」 「うんざり?」 「好きなところの1つだよ。」  啓がムスッと言い、私は「どうも」と顔を赤らめた。 「キスさせろ。」 「ごめん、それはちょっと。」 「なーんでだよー。泣きながら俺とより戻したいって言ってたじゃないか。」 「そんなこと言ってないよ。」 「『啓は修復しようとしてくれたのに、意地張って受け入れなかったのに?』」  啓が私のセリフを再現し、私は赤面してしまう。 「本当に聞いてたんだね。」 「うん。何度出ていこうとしたことか。」 「出てきてくれれば良かったのに。鉄さんに紹介できた。」 「その鉄さんのお母さんの話が始まって、機を逸した。」 「確かに。あそこで出てきたら空気読めない人だ。」 「だろ?」 「うん。」
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