NH(ニューハーフ)アイドル・田所権左衛門

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朝になり、蓮香は俺の弁当と自分の弁当を作って 少し緊張しているのか頬が赤らんでいた。 「お兄ちゃん、僕なんかドキドキしてる、 『舞』でいる時だってこんなにドキドキ した事ないんだよ」 と言いながら俺の手を自分の胸に押し当てた。 手に伝わってくる蓮香の心音、本当は人間じゃないのか?と思わせるような蓮香の鼓動、柔らかい蓮香の 乳房がかすかに揺れていた。 「大丈夫、お兄ちゃんが側にいるんだから 安心して仕事をやりなさい」 そう言ってやると少し安心したのか 蓮香は落ち着きを取り戻した。 「よし、蓮香!会社に行こうか!!」 「うん、お兄ちゃん!よろしくお願いします」 そうして、蓮香の初めての会社勤めが始まった。 これから毎朝蓮香と出勤。俺も少しばかりの不安を 胸に仕事に出かけた。 会社に着くと、蓮香の事を知っている社員の人達が 不思議そうな顔をしていた。 「なんで蓮香ちゃんがいるの?」 と言う顔をしていた。 俺は蓮香を連れて、まず工場長のところへ行った。 「お〜っ!蓮香君来てくれたか!!ありがとう!! 早速部長の所へ行こう」 と言って蓮香と俺を連れて行く。 「小清水部長!田所蓮香君が、今日から仕事を してくれるそうです」 「そうか!そうか!!早速来てくれたか! ありがとう!田所君!蓮香君! 蓮香君の仕事は主にお客様の案内役だ、 我がトヨハツの顔になると言っても過言ではない 最初の印象が大事、それにより車が売れるか売れないかが決まるような物だ。 印象が悪ければお客様は購入してくれない、 まずは第一印象を大切にして欲しいと 思っている、よろしく頼んだよ、蓮香君」 「は、はい!僕、いえ私なりに頑張ります」 「はははは、普通通りでやってもらえばいいから、 蓮香君には、トヨハツの車の事を全て覚えてもらわないといけない、全ての車種はもちろん特徴やアピール ポイント、お客様から聞かれた事に答えられる くらいにはなって欲しいと思っている。 その後の交渉などは営業の仕事になるから 心配しないで良いから、 後の事は、この斉藤君から教えてもらってくれ、 彼女は今月いっぱいで当社を結婚退職する、 引き継ぎをよろしく頼んだよ、斉藤くん」 「はい、わかりました!よろしくお願いしますね 田所さん」 「こちらこそよろしくお願いします」 「田所君、ありがとう!後は斉藤君に任せるから 君も仕事に戻ってくれ」 「部長!妹のことよろしくお願いします」 部長が大きく頷いてくれた。 部長にお礼を言って俺は職場に戻った。
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