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恵子ちゃんの家に着いた時、玄関前に
ママさんが立っていた。
恵子ちゃんが降りるとママさんが運転席の方に
回って来た。
「田所さんですね、いつも恵子がお世話になってます。どうぞ上がって行ってください
蓮香ちゃん、ご飯まだでしょ!
久しぶりにママの料理食べて行って、
お兄さんもどうぞ、たくさん料理作ったので
食べて行ってくださいね」
「お兄ちゃん!せっかくだからご馳走になりましょ!ママのお料理とっても美味しいのよ」
「田所さん、上がって行ってください
お願いです」
恵子ちゃんにまでお願いされたら
ここは素直にご馳走になるとするか......
「わかりました、それではお言葉に甘えて
お邪魔させていただきます」
「やった〜〜!」
蓮香と恵子ちゃんが声を合わせて喜んだ、
この辺は本当に息が合っているというか
俺が蓮香と合体していなくても
『舞唯』なんだなと思う。
それじゃ俺はいなくても良いって事か?......
まあ、余計なことは考えない事にしてと。
「それじゃ車をパーキングに停めて来ますので」
そう言って車を停めに行く。
蓮香と恵子ちゃんが玄関前で待っていて
くれた。
権左衛門として恵子ちゃんの家に上がるのは
初めてだ......当たり前だが...
中に通されるとパパさんが晩酌をしていた。
「初めまして、蓮香がいつもお世話に
なってます」
「とんでもない、恵子と蓮香からお兄さんの
話はいつも聞いてます、
今日はゆっくり酒でも飲みましょう」
「パパ!田所さんは車なのよ」
恵子ちゃんが言う。
「そんなの代行を呼べば良いんだ!
いつも男はパパひとりなんだから
蓮香のお兄さんは滅多に来れないんだから
今日ぐらいは良いんだよ。
代行代くらいパパが出すから!
ねえ、蓮香のお兄さん!」
「は、はあ......」
俺は何と言って良いのかわからなかった。
断るのも何か気が引けるし、かと言って......
「田所さん、パパもこう言ってる事だし
今日はみんなで飲みましょ!ねっ!良いでしょ」
恵子ちゃんが嬉しそうに言った。
「お兄ちゃん、今日はパパに甘えましょ」
「何言ってんだ!蓮香まで!」
「嬉しいね〜娘2人に言われるなんて、
ママ!みんなのグラス用意して」
「はい、はい、今用意しますから
待ってて下さいな」
たちまち「榊家」宴会パーティとなってしまった
アルコールも少し入って来たところで
パパさんが、
「ふたりから『舞唯』の事を聞いた時は
狐に摘まれたような感じで
信用出来なかった、でも今では押しも押されぬ
アイドルの頂点に立っているこのふたり、
会社で『舞唯』の話題が上がると
「あの2人は私の娘たちなんだぞ〜」
って教えたくなってしまうんですよ!
お兄さんもそんな気持ちになりませんか?」
「そうですね、僕もあの2人は俺の妹たち
何だぞ〜!って叫びたくなりますよ」
「やっぱりそうだよね!言いたくなるよね」
「パパ!それだけは絶対にダメだからね!」
「わかってるよ!言う訳ないだろ......
でも、いつか「水戸の黄門様」みたいに
『この2人は俺の娘たちだ!』
CD片手に印籠を見せるが如く
言ってみたいもんだ」
「ははははっ!それ面白いですね
お父さん!ははははっ!」
男同士話が盛り上がってしまった。
蓮香と恵子ちゃんが
「お兄ちゃん!!」
「パパ!!」
と怒っているのを見てまたもや
男同士笑ってしまった。
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