第六章 大司教殺し

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 そこにかつてクローゼンに来たナゼル・ラクロワ卿が再訪。大司教猊下(だいしきょうげいか)の意を受けて邪教の娘やその赤子を連れてくるように御託宣(ごたくせん)を受けたと語る。姉のために邪教の娘達の遺児を守ると決意したオデットは仲間達をクローゼンから逃がすも、嘘をついたことでナゼル卿の怒りを買ってしまい、オービニエに連れていかれてしまう。  オービニエで大司教と対面したオデットは自分が支え続けてきたマルジャナのことを話し、命の価値を懸命に訴えるが、その想いは届くことなくジュゼーヌ大聖堂の地下へ永久拘禁されることになる。  その頃、西の国の都ナムサ近郊に到着したトリスタンは正面衝突を避けるために、二週間以上にわたって情報収集を行っていた。しかし、その甲斐なく良策は出ず、結局は6月24日の明け方を狙って無謀な突撃を仕掛けることに決断する。  一方、大司教との約束を果たすために西へ進軍していたラヴィニス卿もティムルーク戦線を越えてナムサへと迫っていた。そして、6月24日明け方、トリスタンの計画を知らないまま、ラヴィニス卿はジェライ騎士修道会を率いてナムサに総攻撃を仕掛けた。また、トリスタンも養父が来ていることを知らないまま、呼応するかのように攻撃を開始。戦争は遂に最終局面を迎える。
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