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「……うん。ありがとう」
藍は「透子は可愛いから、変な男に絡まれたりしないか不安だな」と冗談交じりに話していた。
「何言ってるの?そんなこと、ある訳ないでしょ」
わたしは藍の妻なんだから。変な男に引っかかるなんてことは、あり得ない。
「大丈夫だ。もしそうなったとしても、俺が守ってやるから。安心しろ」
藍はそう言ってわたしの手を握ってくる。
「藍……?」
「大丈夫。お前には、俺がいる」
「……うん」
藍のその手の温もりは、なんだか優しくて、ホッとする感じがした。
「透子は元気な赤ちゃんを産むことだけ、考えてればいいんだから」
「……うん。ありがとう、藍」
藍と繋ぐその手は、幸せをちょっとだけ感じるような、そんな温もりだった。
「俺はお前の夫である前に、子供の父親だ。お互い助け合っていかないとな?」
「……そうだね」
わたしたちは、家族になるんだから。こうして少しずつ、家族となっていくんだから。
「アイツのことは、俺がなんとかするから。お前は気にしなくていい」
藍はそう言うと、わたしに視線を向けた。
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