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それから数日が経った時のことだった。
「藍、買い物行ってくるね」
「じゃあ俺も一緒に行くよ」
「大丈夫だよ。一人で行けるから」
藍はそう言ってくれるけど、わたしは断った。
「ダメだ。透子は妊娠中なんだから、なにかあったらどうするんだ」
「藍は心配しすぎなのよ」
と言うけど、本当は心配してもらえると嬉しい。
「透子、俺はお前のことが心配なんだよ」
「そんなに心配しなくても、無理はしないから大丈夫だよ」
わたしはそう言いながら、エコバッグとお財布を用意した。
「透子はいつもそう言うけどさ、そういう時が一番心配なんだよな」
「大丈夫だって。 じゃあ行ってくるね」
「……分かった。気を付けてな」
わたしは家を出ると、エレベーターに乗り一階まで降りて、カードキーをかざしてマンションを出た。
そしていつものように、買い物に出かけたその時だったーーー。
「ちょっと待ちなさいよ!」
と声をかけられた。
「はい……?」
え、ウソでしょ……。何でままだいるの?
振り返るとそこにいたのは、藍の元カノであろう女性だった。
「あなたっ……」
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