【13.過保護な夫】

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 わたしがそう言うと、藍は「そうか。嬉しかったのか」と嬉しそうに笑っていた。 「……何ニヤニヤしてるのよ。気持ち悪いんだけど」    と言いつつも、そんな嬉しそうに笑う藍を見てちょっとだけわたしも嬉しかった。 「だって透子が俺に嬉しかったとか、言ってくれるんだぞ?そんなの嬉しいに決まってるだろ?」 「……そんな、大げさな」 「愛してるよ、透子」  そんな見つめられて「愛してる」と言われたら、恥ずかしいに決まってる。 「……透子?」 「あ、愛してるなんて……ここで言わないでよ」  と言うと、藍は「別にいいだろ?言いたかったんだから」と言い返してきた。 「……もう、藍ったら」 「さ、会計して帰ろうか」 「う、うん」  会計を済ませたわたしたちは、車に乗り込んで自宅へと戻った。 「透子、お腹触ってもいいか?」 「いいよ。触っても」  家に帰ると、ソファに座りながら藍はそう聞いてきた。   「じゃあ、触るな?」 「う、うん」  藍は優しく、そのお腹に触れてきた。  なんかこう、藍にお腹触られるってちょっと不思議な気分だな……。
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