【14.藍の誕生日➀】

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【14.藍の誕生日➀】

   父親としての自覚が出てきた藍は、それから毎日お腹の子に話しかけるようになった。 「おい。パパだぞ?聞こえてるか?」 「聞こえてるんじゃない?」  なんて言いつつも、藍はすごく嬉しそうだった。 「透子は嬉しくないのか?赤ちゃんが動くようになってきたんだぞ?」 「そりゃあ、嬉しいよ?」  藍はすっかり父親だ。こんな藍、見たことない……。 「透子もすっかり、顔付き変わってきたよな?」 「まぁね。お母さん、だからね」  わたしはこの子のお母さんだ。赤ちゃんが動くのはとても嬉しいことだ。  ちゃんとすくすくと成長していることを感じられるから。このままちゃんと元気に産まれてきてくれれば、それでいいんだ。わたしたちは。 「本当に俺は、いい妻を持った気がするよ」 「気がするよ、なの?」 「いや。いい妻を持ったの、間違いだな?」  藍はそう訂正すると、微笑みを浮かべていた。 「そうでしょ?いい妻、持ったでしょ?」 「ああ、お前は最高にいい女だ。 早く抱きたいよ、透子のこと」 「藍……んっ」   藍は嬉しそうにそう言って、唇を重ねてきた。
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