【15.藍の誕生日②】

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「さ、買い物して帰ろうか」  赤ちゃんに話しかけるようにそう言って、病院を出る。 「少しずつ、お腹が出てきたな……」    藍の子を妊娠したと分かった時は、本当にビックリした。まさかとは思っていたけど、それが本当だったなんて思わなかった。  そして藍に利用されたんだと知った時、本当にどうにかなりそうだった。怒りが沸いて仕方なかった。 「……でもやっぱり、わたしは母親だから」  藍が検診に着いてきた時、待合室でわたしに「産んでほしい」と目を見ながら言われた時、わたしの中ではすでに覚悟は決まっていた。  だからこそ……。藍と家族になるために、わたしは藍と結婚した。 「今日はローストチキンにしよっかな」  スーパーで食材を選びながら、わたしは藍のことばかりを考えていた。  藍に喜んでもらいたいっていう一心で、自分も嬉しくなっていた。  ここまでわたしが藍のために何かをするなんてこと、考えこともなかったけど……。そういうのも、悪くない。 「後、ケーキ買わなくちゃね」   藍の大好きなフルーツタルトと、ショートケーキを買ってお祝いしなくちゃ。
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