【15.藍の誕生日②】

10/12
前へ
/156ページ
次へ
「藍、ご飯にしよう。今日はローストチキンと、藍の大好きなドリアにしたんだ」 「ドリア?マジで……。嬉しいわ」 「すぐ用意するね」  藍はその間に「着替えてくる」と言って部屋にも戻っていった。  ローストチキンとドリアをテーブルに並べて、冷蔵庫からシャンパンとワイングラスを取り出し、テーブルに並べた。 「お、美味そう」 「食べよっか」 「マジか。シャンパンまで用意してくれたのか?」  目の前のテーブルに並べられた料理やシャンパンを見て、藍は嬉しそうに笑っていた。 「うん。……だって藍の一年に一度の、誕生日だから。喜んでほしくてさ」 「嬉しいよ、その気持ちだけで」 「……藍」  藍の嬉しそうな顔を見て、わたしも嬉しくなった。 「はい。シャンパン、どうぞ」 「ありがとう、透子」  わたしは藍のワイングラスに、静かにシャンパンを注いだ。 「わたしは、お酒飲めないから……。代わりにオレンジジュースにするね」 「ああ」 「……藍、お誕生日、おめでとう」 「ありがとう」  そしてグラスを「乾杯」と交して、藍はシャンパンを口にした。 「ん。シャンパン、美味い」
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2169人が本棚に入れています
本棚に追加