【1.高城藍】

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「ゲス野郎って……。言ってくれるね、透子」 「勝手に名前を呼び捨てにしないで」  わたしは彼のことを睨みつけると、また更に言葉を続けた。   「あなた達はどうかしてる。あんなやり方は脅迫と同じよ。間違ってる、そんなの。……あなた達、銀行にも融資しないようにって圧力をかけてたわよね?そこまでして夕月園を奪いたかったの?……そこまでして、わたしたちを消したかったの?」 「……どっちにしろ、夕月園は終わりだった」  わたしはその言葉に怒りが湧いた。 「ふざけないで……!あなた達があんなことしなければ、夕月園はまだ経営出来たかもしれないでしょ? あなた達がしてることは、最低のことなのよ?そんなゲス野郎な御曹司とパートナーになるくらいなら……。わたしは死んだほうがマシだわ!」  わたしはそう言い放つと、グラスに入ったハイボールを一気に飲み干して帰ろうとした。  お財布からお札を一枚取り出し「気分が悪いわ。帰る」と言って立ち去ろうとした。  ーーーその時。 「いいね、透子。ますます気に入ったよ」  彼は反省する所か、わたしの態度を見て嬉しそうに笑っていた。
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