【16.家族になるために】

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【16.家族になるために】

 それからは本当にあっという間に過ぎていった。相変わらず藍の溺愛は増えていくばかりで、わたしの心はザワザワしている。  わたしのお腹はどんどん大きくなっていって、気が付けば歩くのがやっとな感じだ。 「透子、俺がやるって」 「大丈夫だって」 「ダメだ。ケガしたら大変だろ?」    洗濯物を干しているわたしの横で、藍は心配そうな表情でわたしのことを見ていた。 「本当に大丈夫だって。藍は心配し過ぎなんだよ」  と言ってみても、藍は聞く耳を持たないのだ。 「だって透子はもう妊婦なんだぞ?腹だってこんなに大きくなってるんだし」  藍はその大きくなっているお腹に手を触れながら、そんなことを言ってきた。 「……まぁ、そうだね」 「だろ? 透子が無理して倒れたり、赤ちゃんに何かあってからじゃ遅いだろ?」  そう言われたわたしは「……分かった。じゃあお願いしようかな」と言った。   「素直なのはいいことだ。 お前の体はお前一人のものじゃないんだ。時には誰かに頼ることも、大事だぞ?」 「……うん。ありがとう」   確かに藍の言う通りだな……。
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