【3.高城藍の過保護】

9/11
前へ
/156ページ
次へ
「わたし、あなたとは結婚しないって言ったはずだけど……」 「何言ってる。子供が出来たんだから、結婚しないとだろ?」  そう言われても、そうさせたのはあなた自身じゃない……。 「……何それ。ムカつく」 「透子のそういう強気な所、ますます惚れるね」  そう言われてさらに、腹が立った。  からかってるのか、本気なのか分からない所が更に腹が立つ。 「さ、もうすぐ病院だ」 「……はいはい」  病院に着いて受付を済ませたわたしたちは、待合室で待つことにした。 「ここに座るか」 「……うん」  名前を呼ばれるまで待合室で待つわたしたち。だけど隣に座る高城藍は、ちょっとだけ嬉しそうな表情をしていた。 「なぁ、透子」 「何……?」 「子供、産んでくれないか?」  隣に座りわたしの手を握ると、高城藍は真剣な眼差しでそう言ってきた。   「……え?」 「透子に、産んでほしいんだ。俺の……俺たちの子供を」  そんな真剣な眼差しで言われたら【ノー】とは言えそうになかった。  「……分かってる」  わたしのお腹の中にいるのは、大切な生命だ。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2170人が本棚に入れています
本棚に追加