【4.女将との再会】

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「……何で、そんなこと言うのよ」  そう言うと高城藍は、こう返してきた。 「当たり前だろ? 透子、君は俺にとって大切な人なんだから」 「大切な……人」 「そうだ。俺には、君と子供を守る義務があるんだ。……分かるだろ?」  そんなこと言われたって……。わたしはそんなこと、頼んでないってば……。  勝手に言ってるのは、そっちなのに……。 「……そんなこと、頼んでない」  わたしのことは、放っておいてほしいのに……。 「でも俺は、この子の父親だ」 「……一人にして。放っておいてってば」  そう言ってみたけど、高城藍は引き下がろうとはしなかった。 「すまないが、それは出来ないな」 「……もう、分かったわよ。乗ればいいんでしょ、乗れば」    確かにこの子の父親は、高城藍本人だ。それには間違いない。 「よし、じゃあ行こうか」 「……よろしくお願いします」  わたしは折れて、彼の高級車の助手席に乗り込んだ。  シートベルトを付けた彼は、片手でハンドルを握りながら車をバックさせて車を出発させた。 「……今日、女将さんが来た」 「え、そうなのか?」
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