【6.溺愛結婚の始まり】

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【6.溺愛結婚の始まり】

✱ ✱ ✱ 「……夕月園の元若女将、藤野透子と申します。この度ご縁があり、藍さんと結婚する運びとなりました。……それと今わたしのお腹の中には、新しい命が宿っています。藍さんとの子供です」   それから数日後、わたしは高城藍の父親である高城明人の元に挨拶に来ていた。  ……高城明人、正直に言うともうこの人と二度と会うことはないと思っていた。   この人は夕月園を奪って、わたしたちを引き摺り下ろした張本人だ。  まさに憎むべき相手のはずなのに、まさかこの男の息子と結婚することになるとは、夢にも思ってなかっただろう……。 「ほう……。夕月園の元女将だったのか、君は」    そんなわたしの姿を見て、高城明人はそう言ってきた。 「……はい。 あの時以来、ですね」  買収された時に初めて会った時、以来だ。 「藍からこの前、結婚したい人がいると聞いてはいたが……。まさかその女性が、君だったとはね……。これは驚いたな」 「……わたしもまさか、あなたとこうして再会するとは、思ってもいませんでした」  わたしはそう言って、改めて「藤野透子です。よろしくお願い致します」と挨拶をした。
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