【6.溺愛結婚の始まり】

6/11
前へ
/156ページ
次へ
「……え、何で?」   そして藍は、わたしの左手を握りしめてきた。 「こうやって見た方が、雰囲気あるだろ?」 「……別に」  そう答えたものの、結局の所、藍の手を離すことは出来そうにない。 「透子、始まるぞ」 「はいはい」  映画を見続けて早一時間。突然出てきたキスシーンを見てちょっとだけドキッとした。  なのにそれに影響され、藍に突然キスされた。 「何で今、キスするのよ……」 「したかったから」  そう問いかけてもいつも、そう答えられる。 「……もう、すぐそうやって言うんだから」  でも最近、それも慣れてしまったせいか、イヤな感じにはならなくなった。   「透子、俺の膝に乗っていいぞ」 「はぁ?イヤよ……! あ、ちょっと……!!」  拒否したのに無理やり抱っこされ藍の膝に乗せられてしまう。 「ちょっと、降ろしてよ……」 「ダメだ。こうしないと、君たちを抱きしめられないだろ?」  君たち……。確かにそう言われると、そうなのだけど……。  たちってことは、お腹の中の赤ちゃんも、ってことだよね……。だけどもう、拒否は出来ないから諦めることにした。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2171人が本棚に入れています
本棚に追加