【6.溺愛結婚の始まり】

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「……仕方ないな」 「何だ、意外と素直じゃん」  そんなことを言われても、ちっとも嬉しくないんだけど……。なんて思いつつも、藍はわたしを抱きしめながら幸せそうな表情をしていた。  そんな表情を見たら、拒むなんて出来ない気がした。 「ここにいるんだよな、俺たちの赤ちゃんが」    お腹に手を回し撫でるように触れてきた藍。 「……そうだよ。赤ちゃん、いるよ」  わたしだってまだ、あまり実感なんてない。だけどこれから少しずつ大きくなるそのお腹を見たら、わたしだって更に実感する。  藍の子供が、ちゃんとここいることを。そしてわたしたちが、これから【家族】になっていくことを……。 「夢みたいだ……。でも今、俺すげぇ幸せだわ」  藍がそんなことを言うなんて、思ってもなかった……。わたしと結婚して幸せだって、言ってくれるんだ……。 「早く会いたいな。俺たちの子供に」 「……そうだね。会いたいね」  わたしも最近、その気持ちが芽生え始めてきた。  この子に早く会いたい。……早く、この手で抱きしめてみたい。 「俺たちの子供、きっとすげぇ可愛いだろうな」
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