【6.溺愛結婚の始まり】

9/11
前へ
/156ページ
次へ
「さぁ透子、寝ようか」  その日の夜、ベッドに潜りわたしのそばにやってきた藍は、嬉しそうにそう言ってきた。 「いいよ。先に寝て」  そう言ったけど、藍は「いいから、一緒に寝よう」と言って聞かなかった。 「……はぁ。分かったよ」  何度言っても聞かなそうだったので、諦めて寝ることにした。 「透子の肌はすべすべだな」  なんてわたしを抱きしめながら、藍はそう言ってきた。 「何?いきなり」 「透子の肌、触り心地いいんだよな。マシュマロみたいでさ」  そんなことを言われると、なんだか恥ずかしくなる。 「もう、そんなこと言うのやめて……」 「だって事実だし。透子の肌、マシュマロみたいで可愛い」    恥ずかしげもなくそんなことを言ってくる藍に、ちょっと戸惑うけど……。  「おやすみ、透子」と微笑む藍に、わたしも「おやすみなさい」と返事をした。  そして次の日朝、目が覚めるとそこに藍はいなかった。  ベッドから起き上がりリビングに行くと、藍はのんびりとコーヒーを飲みながら、何やら書類に目を通していた。 「藍……?」 「透子、おはよう」
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2171人が本棚に入れています
本棚に追加