【6.溺愛結婚の始まり】

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「……はぁ」  最近、毎日こんな感じなんだよね……。  朝から抱きつかれて、愛してると言われる。そして仕事から帰ってくると、いつもお腹の赤ちゃんに話しかけている。  それも嬉しそうに、話しかけているのだ。 「結婚して、良かったのかな……」  もうよく分からない。結婚してから初めて一緒に暮らしているけど、藍の考えていることはよく分からない。  ただ毎日、ちゃんと愛の言葉をくれる。ちゃんと言葉にして。 「……あなたの父親は、よく分からない人だよ」  藍は優しい。そしてわたしを甘やかしてくる。 「はぁ……」  あんなに拒否しようとしてたのに、結局そのプロポーズを受け入れてしまったし……。  左手の薬指に嵌めているその結婚指輪を眺めながら、わたしは色んなことを思っていた。  藍と結婚したすぐ後、妊娠してるのに働くのは体に負担がかかるからと、カフェの仕事は藍に言われて辞めることになった。  それからはこうして、家の周りでゆったりと過ごしている。 幸いつわりはあまりなく、いつも通りに過ごしていることの方が多い。  まぁ家にいるのも、退屈に感じるのだけど……。
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