【8.支え合っていくこと】

1/7
前へ
/156ページ
次へ

【8.支え合っていくこと】

 それからニ週間後が経った頃、藍の父親である高城明人から、家に来ないか?と誘いを受けた。 「え、食事会……?」  わたしと、藍の両親とで……?そんなの気まずすぎる……。 「ああ、親父が透子と話をしたいそうだ」 「わたしと、話を……?」 「ああ。 行くだろ?」  そう言われると正直、行きたくないと思ってしまう所もあるけど……。  でも家族になるんだから、それもやむを得ないよね……。覚悟を決めるしか、ないか。 「分かった。行く」 「ああ。じゃあ親父に伝えておくよ」 「……うん」  高城明人のことはよく知らない。どんな人なのかって聞かれると、夕月園を買収してわたしたちを追い出したサイテーな人という認識でしかないのだから。  夕月園がなくなって藍と結婚したことは、間違いではないと思いたい。……けど、そう思える自信がわたしにはない。 「……なぁ、透子」 「何?」 「透子はまだ、親父のことを恨んでるか?」  藍から突然、そう問いかけられた。 「……分からない」 「え……?」 「その答えは、わたしには分からない。……どうなんだろうね」
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2170人が本棚に入れています
本棚に追加