【8.支え合っていくこと】

5/7
前へ
/156ページ
次へ
 そう言われて「ありがとうございます」と答えた。 「透子さん、無理はしないでくれよ。体に障ったら大変だ」  高城明人からもそう言われ、わたしは「分かっていますので、大丈夫です」と答えた。  高城家にとっては、わたしたちの赤ちゃんは念願の孫だ。そりゃあ嬉しくない訳がない。  何より将来、この子が男の子だったら、高城ホールディングスの跡を継ぐ可能性だってある訳だし……。貴重な子供だってことだ。 「そうか。ならいい」 「父さん。透子のことは俺がちゃんと見てるから、心配しなくても大丈夫だって」  そんな会話を聞いた藍が、口を開くと、藍の父親は「しっかり守ってやるんだぞ、藍。父親になるんだから」と釘を刺していた。 「分かってるよ。心配するなって」  そんな親子の会話を聞いていると、なんだか家族になれるのか不安になる気がする……。 「透子さん。何かあったら、いつでも遠慮なく言ってね?力になるから」 「はい。ありがとうございます」     妊娠中のわたしは、こうして出産までみんなに支えられていくんだな……。  と、この日わたしはつくづく実感した。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2170人が本棚に入れています
本棚に追加