【1.高城藍】

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【1.高城藍】

✱ ✱ ✱  そして夕月園を離れて、およそ半年後のことだった。 「いらっしゃいませ」  わたしは京都のとあるカフェで働いていた。  夕月園を離れて半年。夕月園の全従業員が退職した。わたしも夕月園を退職し、そのままカフェで働き出したのだった。   「お客様、お一人ですか?」  と声をかけたその背の高い男性に、わたしはなんとなく見覚えがあった気がした。  あれ……?この人……って。 「藤野透子、だな?」    わたしの顔を見るなり、そう告げてきたその男性。 「……なぜ、わたしのことを?」 「君に話がある」  突然そう告げられたわたしは、不思議に思った。あなた、誰ですか……?と。 「……ここはカフェです。何も注文なさらないのなら、申し訳ありませんがお帰りください」  わたしはその男性にそう告げた。だけどその男性は「ではアイスコーヒーを貰おう」と言った。 「……かしこまりました」  わたしはアイスコーヒーの注文を取り、カウンターに注文表を置いた。  アイスコーヒーを用意したわたしは、その男性の前に「お待たせ致しました。アイスコーヒーです。お好みでミルクと砂糖をどうぞ」とテーブルに置いた。
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