【9.不思議な感情】

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藍だけだ、こんなにたくさん愛を伝えてくれるのは……。愛してるって言われると、少なからず嬉しい気持ちがある。  藍はわたしの夫。その事実は、この先いつまで経っても変わらない。藍はずっと、この先だってわたしを愛してると言い続けるだろうな……。  左手の薬指のその結婚指輪を眺めながら、わたしはこの先の未来を思い浮かべていた。 「藍とわたしは、まるで正反対……」  それでもこうして一緒にいるのは、家族になるためだ。  家族なりたいから、わたしたちは一緒にいる。 「……あなたのことちゃんと考えてくれてるよ。あなたのパパは」  そう、藍はこの子のパパだ。藍は父親になるために、今から一生懸命頑張ってくれている。 「……わたしも、頑張らないと」  この子をちゃんと産むために、しっかり頑張らないと……。  いずれこの子は、藍の跡取りとして高城ホールディングスを継ぐことになるかもしれないから。  男の子なのかは、分からないけど。 「あ、そろそろ、検診に行かないと……」  わたしは洗濯物を回した後、着替えをして財布と保険証などを持ち、検診へと向かった。
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