【9.不思議な感情】

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「高城透子さーん、診察室へどうぞ〜」 「はい」  受付を済ませてしばらくして、わたしは診察室へと呼ばれた。 「高城さん、おはようございます。体調はいかがですか?」 「んー……。でもやっぱり、少し食べてしまいますね」  体重を増やしすぎてしまわないようにコントロールしないといけないのに、やはりちょっと食べてしまうのが悩みだ。 「そうですか。 では診察、始めましょうか」 「よろしくお願いします」    順番に超音波検査、血圧検査などを行っていく。 「うん。赤ちゃん、順調に育ってますねぇ」 「そうですか……。良かった」  赤ちゃんがちゃんと育っていると分かると、やっぱりどこか安心してしまう自分がいた。 「分かる?ここが心臓よ。ここにはね、頭があるのよ」    こうしてエコーで見てみると、赤ちゃんが少しずつ育っているんだと分かるから、不思議だ。 「……はい。本当に、赤ちゃんいるんですね」 「そうよ。いるのよ、赤ちゃんが」  だけどこうやって見て思うのは、赤ちゃんがいることで、母性みたいなものが生まれてきたことだ。 自分の中に、不思議な感情が生まれる。
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