【10.好きなのかもしれない】

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 この子はまだこんなに小さいのに、ちゃんと生きようとしている。  ちゃんとこうしてそのことが分かるだけで、嬉しくて仕方ない。 「透子、ありがとうな」 「え、何? いきなり?」  お礼を言われるほどのこと、何かした……? 「産むって言ってくれて、ありがとう」 「……別に。藍のためじゃないから」  とは言ったものの、藍がこの子の父親であることに変わりはない。 「素直じゃないね、透子は」  お箸を持ちながら、ニヤニヤしながら笑っている藍。 「うるさい……。早く食べないと冷めちゃうよ」    わたしはそう言ってお茶を飲むと、お箸を持ってお味噌汁に手を付けた。 「いただきます」  藍はそんなわたしの表情を嬉しそうに見ながら、夕飯を食べ始めた。 「ん、やっぱり美味いな」  と言いながら、藍は何度も肉じゃがに手を伸ばしていた。 「……ねぇ、藍」 「ん?」 「藍は……。高城社長がわたしのこと、高城家の嫁として認めてくれると思う?」  ずっと気になっていた。高城明人が、わたしを嫁として認めてくれているのか。  妊娠して跡継ぎが出来たことを、どう思っているのか。
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