【10.好きなのかもしれない】

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 そんなことを言われたら、何も言い返すことが出来ない。何か一つでも言い返してやろうと思ったのに、それが出来ない……。  やたら゙俺の゙の部分を強調されてしまい、ちょっとだけ嬉しく感じたのは、なぜだろう……? 「藍……」  藍はまたさらに、言葉を続けた。 「透子は、親父のことなんて気にしなくていいんだよ。俺たちには俺たちなりの、夫婦の在り方っていうのがあるんだし。……だから親父のことは、関係ない」  藍にそう言われるとなぜか、不思議と大丈夫な気がしてくる。  そしてなぜか、藍のその言葉はわたしの心を少しだけ、強くしてくれる気がした。 「この先何があっても、俺が透子のこと愛してることに変わりはないんだ。……俺にはこの先も、透子と生きる未来しかないんだよ」  そう言って優しく抱きしめてくれる藍に、わたしは少しだけ泣いた。  だけどそこで決めた、泣くのは今日で最後にしようとーーー。  だって赤ちゃんを産むのだから、わたしは。母親になるんだから……。わたしが泣いたりしたら、きっと赤ちゃんは悲しむ。 「藍……」 「泣くな、透子。透子は笑ってる方が可愛いんだから」
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