【10.好きなのかもしれない】

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 そう言ってちょっとだけ、藍はニヤニヤしていた。 「……うるさい。く、口が滑っただけよ」  なんて言ってみても、藍には全く通じないのだけど……。 「へぇ……? 口が滑ったって割には、嬉しそうにしてるけど?」  なんて言いながら、藍はわたしの顔を覗き込んでくる。 「そ、そんなこと……ないっ」  そんなことないと、思いたい……。 「何なら透子のこと、俺は今すぐにでも抱きたいと思ってるけどね」 「……え? え、なっ……!」  だ、抱きたいって……! そ、そんなこと言われると、恥ずかしくなるんだけど……! 「でも透子は今妊娠中だから、まだガマンしとく。 けど透子が赤ちゃんを産んだら、俺はすぐにでも透子を抱くつもりだけどね」 「な、何言ってんの?もう……!」  と言ってみたものの、藍のその真剣な眼差しには勝てそうにない。 「夫婦の愛を確かめるのは、やっぱり夜の営みしかないだろ?」 「は、はぁ……?」  夜の営みがなくたって、充分愛は確かめ合えると思いたいけど……。 「透子の体にもしっかり俺の愛を刻み込んでやらないと、透子も寂しいだろ?」
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