【11.藍の元カノ】

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「可愛くないから……」  からかってるのか、そうじゃないのか分からないんだけど……。 「透子、帰ったらまた抱きしめてやるからな」 「はぁ?いいって、別に……」 「俺が抱きしめたいんだよ」  そう言われると、なんか断れない……。ていうか、断りにくいよね……。  夫である以上、断るのもなんか違う気がする。 「ほら、もう行く時間でしょ?」 「ああ。じゃあ行ってくる」 「うん。行ってらっしゃい」  藍が仕事に出掛けるのを見送ったわたしは、食器の片付けをした。  そして藍が忘れ物をしていることに気付いた。 「藍ってば……忘れ物してるじゃん」  届けてあげないとダメだよね……。しょうがない、届けてあげるか。  わたしはスマホと一応お財布、そしてカードキーを持ち急いでエレベーターで一階まで降りた。 「どこだろう……?」  そんなに遠くまでは、行ってないはずだと思うけど……。探さないと。  藍のことを探して歩いていると、遠くで藍を見つけた。 「藍……! え……?」  だけど、藍はそこに一人じゃなかった。なぜか隣には、仲良さそうな女性がいたのだ。
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