【11.藍の元カノ】

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 わたしは遠くから、その様子を眺めていることしか出来なかった。  会話なんて聞こえないけど、何かを話していることだけは分かる。 「……藍」    誰?その人……。なんでそんなに仲良さそうなの……? 「藍っ……待ってよ……!」  女の人は、スタスタと歩き出す藍の腕を掴んで阻止していた。 「……離せよ」  藍は女の人の腕を振り払い、歩きだしてしまった。  もちろん、わたしになんて気付いてるはずもない。 「……ちょっと、何なのアレ」  誰よ、あの女……。明らかに藍のことを名前で呼んでいた。 だけど友達って感じでもなさそうだった。  もしかして……。藍の元カノ? それしか考えられない……。  藍の態度、ちょっとおかしかったし。 「ムカつく……。何なのよ、あれ」  そんなものを見てしまって気分の悪くなったわたしは、気分転換に散歩することにした。  忘れ物を渡そうとしただけのに、なんであんな場面を見ることになる訳……?   「訳分かんない……」  藍のヤツ、元カノとまだ切れてないとか……?  もしそうなら、ちょっと厄介なことにもなりかねない気がする。
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