【11.藍の元カノ】

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 その現場を目撃した日の夜、藍は何事もなかったかのように家に帰って来た。 「ただいま、透子」 「……おかえり」  だけど藍の顔を見ると、朝のあの場面のことが頭からずっと離れなくなった。   「寂しかったよ、透子」 「……うん」  いつものように抱きしめられても、何も嬉しくなかった……。 「お、今日はハンバーグか。美味そうじゃん」  藍はテーブルに並べられたハンバーグを見て、嬉しそうに笑っていた。 「手、洗ってくる」    と、藍は洗面所へ行った。 「お待たせ。食べようか」 「……うん」    二人で夕飯を食べ始めると、藍は「美味いな」とハンバーグを食べていた。  けどわたしは、あまりお箸が進まなかった。 「透子?どうした?」 「……え?」 「何かあったのか?」  夕飯のハンバーグを食べながら、藍はわたしに問いかけてきた。 「……別に」  藍とあの女が一緒にいる場面を目撃してから、なんかモヤモヤする。心の奥にポッカリと穴が開いたみたいに……。 「……ごちそうさま」  食欲すら失ったわたしは、夕飯をあまり食べれずに席を立った。
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