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「ちょっと……。あなた正気?」
「うるさい……!藍のこと返してくれないなら、わたしはあなたを殺すわ!」
元カノは、ナイフを向けたままわたしにそう言ってきた。
「いい加減にして……! そんなことしたら、あなたは……」
「うるさい!!」
わたしがそう言っても、彼女は聞こうとはしなかった。
ダメだ……。もう何を言っても、彼女には聞こえないみたいだ。興奮状態になっているようだ。
「お願いだから、そんなことはしないで」
「藍と別れてくれるなら、何もしないわ!」
「そんな……」
ダメだ。わたし、もうどうしたらいいのか分からない……。
どうしたらいいの……?
「藍と別れて。藍はわたしのものよ!」
「……イヤだって、言ったら?」
「その時は、あなたを殺すだけ!」
どうする、わたし?この子は今、興奮状態にある。下手なことをすると、わたしは殺されてしまうかもしれない。
どうやって自分の身を守る……?わたしのお腹の中には、藍との赤ちゃんがいるの。
どうにかして、守らなくちゃ……。なんとしてもこの子は、この子だけはわたしが守ってみせる。
「お願い。藍と別れて」
「……お断りします」
わたしは力強く、そう答えた。
「なんですって……?」
「お断りします、と言ったんです」
わたしがそう言うと、彼女は「そう……。分かったわ。 なら、あなたを殺すわ!」と言って、わたしに近付いてきた。
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