円見駿の場合

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円見駿の場合

日向と再会したとき、 あのころと全く変わらない気持ちがあって びっくりした。 お酒の勢いで、 抱き締めて、それからまた関係は始まった。 ーーーーーーーーーーーーーーー 昔、高校生のとき、彼女に振られて、 そこまで彼女を好きだと自分でもわかっていなかったから、すぐに引き下がった。 それから、ずっと、彼女を忘れられないまま3年たっていた。 あのときの自分は、大人ぶっていたんだと思う。 小学校の頃から恋愛に困ったことはなかった。 中学まで告白し、告白され、付き合ってわかれてをくりかえして、何人と付き合ったかなんて覚えてない。 中学2年でやっと少し落ち着いて、告白されて、そのこと2年以上続いた。 その子とは高校が離れて、遠距離だったからなのか不満が募ってってわかれた。それから、振ったのは自分なのに、後悔して、他のこで穴を埋めるようになった。 そんなとき、高校で一番美人だと有名な優子に気に入られた。最初はかわいいと可愛がってくれたから、俺もその気になってた。だけど、俺が色んな子と遊んでいることがばれていたし、優子はいろんな男に言い寄られて誰にもなびかない様子だったから、俺もだめなんだろうなーと自然に友達で落ち着いた。優子と友達になってから、寂しさはわすれてて女の子で穴を埋めるのはなくなった。 それからしばらくして優子の紹介で、日向に出会った。三人で遊ぶことも増えた。 最初は、子どもっぽいこだと思ってて、 だけど、よく話すようになって、しっかりした考えを持ってるこなんだとわかるようになった。 人を傷つけるのが嫌なんだろうなと思う。 どんなにひどいことをいわれても笑っていた。 よく人をほめて、絶対に人を否定しない子だった。 なんとなく気になって、 優子とももう付き合うことはないだろうし、 その代わりになんて、勢いで告白してしまった。 それであっさり、つきあえた。 付き合ってみて、思いの外居心地がよかった。 俺がはじめての彼氏だと言われたときは嬉しくて、代わりだなんて思ってたくせに、絶対に幸せにしようと思った。 会えば必ず、かっこいいだのかわいいだの恥ずかしげもなく笑顔で言ってきて頭をなでてきた。 それがものすごく恥ずかしかったけど、嬉しかった。 最初はぎこちなかったキスやハグも日向からよくしてくるようになった。意外にも、愛情表現が凄かった。 だから、本当にいきなり別れを切り出されたときは、驚いた。 なんで? それしか最初は思えなかった。 でも、彼女が決めたことだから、そう言って承諾した。 それからだ。 彼女からあまりにもたくさん愛されて、 居心地がよかったのに、急に全部なくなって、頭が追いつかなくて、無意識に彼女を求めてしまう。思った以上に自分が落ち込んでいることに気づいた。 それから話すことはなかった。 だんだん忘れられてきたときに、大学の合同サークルで再会して、その姿を見た瞬間、あの頃と変わらずに好きだと思った。 彼女は本当に綺麗になっていた。 気まずそうにするかと思っていたら、 何もなかったみたいに笑って話しかけてきた。もう全部忘れたのかと思って、ちょっとだけいらついた。 そのせいなのか、そのサークルの飲み会で、 たまたま二人きりになって、 勢いでそのまま。 彼女はあいかわらずよく笑ってた。 むしろ無邪気に拍車がかかっていた。 だけど、あのころのように甘い言葉をはくくせに、そこにはなんの気持ちもこもっていなかった。 高校の頃、よく彼女は2人で出掛けたがってて、 だけど、人混みが嫌いだっていって、 結局あんまりつれていってあげられなかった。 遊ぶ約束しても、急にやめてしまうこともあった。 あのときは、いつでも行けると思ってたから。いつかじゃなくて今行きたいから行くんだっていつも彼女は言ってたけと、あのときはよくわからなかった。 今は、彼女はなにも言わない。 どこにもいきたいと言わない。 今の彼女は俺と行きたいと思うところがないんだなと気づいてしまった。 あの頃、彼女から本当に愛されていたと今さらおもう。 おれから、付き合おうという言葉は言っていない。 彼女も言わない。 それを言えば、彼女が離れてしまうことがなんとなくわかるから。 ーーーーーーーーーーーーーーー だから、このまま。 大事に大事に彼女との関係が壊れないように、切れないように保ってきたのに、 「私さ、つきあいたい人ができて、 だから、もう会わないね。」 「、、え、?」 終わりなんてなんども想像してた。 想像だけで怖くて、 そのたび彼女を抱き締めてた。 そのあとになんてかえすかなんて決めてなかった。 「ごめんね。」 最後は電話だった。 俺たちはそんなもんだったと言われた気がした。 日向と再会して、でも、あの頃とはもうなにもかも違ってて、どれだけ見落としてたんだろう。 もっと大事に過ごせばよかった。 あの頃、確かに僕は日向の一番だったんだから。 今は、もう違う。何度も何度も思い知らさて、その度苦しかった。 こんなことなら再会しなければよかった。
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