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僕は生まれつき、お化けという分類が見えていた。
もちろん、お化けを見えることには最初は驚いたが今は慣れ、驚かなくなっていた。
そんなある日のこと。
学校の下校中に見知らぬ、白髪の女性が話しかけてきた。
「貴方、うちに来ない?」
「えっ……えーと。」
狼(らう)が戸惑っていると、女性は狼の手を取り、名刺を渡した。
「私達ね、幽霊退治みたいなのをしてるのよ。君の能力をいかしてみない?」
「僕の能力ですか??」
初めて必要とされている気がした。
周りからも結局両親からも兄弟からも不気味がられた僕は、一人だった。
「こんな、僕は必要とされるのでしょうか?」
女はニヤリと笑った。
「そんなの当然よ。必要とされない人間なんてこの世にはいないわ。」
狼は、その言葉を聞いて鳥肌を立てた。
初めてそんな言葉をかけてもらったからだ。
「名乗るのが遅くなっちゃったけど、私は谷崎沙奈よ。よろしくね」
沙奈は狼に手を差しのべ、ニコッと微笑んだ。
「よろしくお願いいたします!」
(次こそは……人の役にたってみせる。)
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